むち打ち症の症状と診断
むち打ち症の症状は個人差が大きく、受傷直後は自覚症状がない場合もあります。代表的な症状には、首の痛みやこわばり、頭痛、めまい、肩こり、手足のしびれなどがあります。重症度によっては、記憶力や集中力の低下、睡眠障害を伴うこともあります。
医療機関では、問診と身体検査に加え、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い、骨折や椎間板の損傷がないかを確認します。症状が持続する場合は、神経学的検査をさらに詳しく行うことがあります。
治療法の選択肢
保存的治療
急性期には頚椎カラーを使用して首の安静を保ち、炎症を抑えることが重要です。痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬が処方されます。症状が落ち着いてきたら、温熱療法や牽引療法などの物理療法を導入します。
運動療法
可動域改善のためのストレッチや、頚部周囲の筋力強化訓練を行います。特に深層筋の強化は再発予防に効果的です。専門家の指導のもと、無理のない範囲で継続することが大切です。
ブロック注射
頑固な痛みがある場合には、神経ブロック注射が検討されます。星状神経節ブロックや硬膜外ブロックなど、症状に応じて適切な方法が選択されます。
回復のための生活習慣
正しい姿勢の維持や、就寝時の枕の高さの調整など、日常生活での工夫が回復を促進します。入浴で首周りを温めることも血行改善に有効です。症状が安定するまでは、重い物を持ち上げる動作や急激な首の動きを避けるようにしましょう。
治療の流れと期間
むち打ち症の治療期間は症状の程度により異なります。軽度の場合は数週間で改善しますが、重症の場合や適切な治療が遅れた場合は数ヶ月から数年かかることもあります。早期に適切な治療を開始することが、良好な回復につながります。
治療効果を高めるためには、医師の指示に従い、自己判断で治療を中断しないことが重要です。症状が改善しても、定期的な経過観察を受けることで再発を防ぐことができます。