変わりゆく日本の結婚式
「結婚したら当然、挙式と披露宴」という時代は、ここ数年で大きく変わった。直近の結婚トレンド調査をみても、挙式・披露宴を行わない「ナシ婚」がひとつの選択肢として定着し、家族だけの少人数婚やフォトウェディングの存在感が目立つ。
その背景には、いくつかの変化がある。
ひとつは価値観の変化だ。SNSで華やかな結婚式を見る機会が増えた一方で、「自分たちらしさ」を優先したいと考えるカップルが増えた。「大勢を呼んで盛大に」より「本当に大切な人と濃い時間を過ごしたい」という感覚が広がっている。
ふたつ目は費用への意識。結婚式の総費用は近年上昇傾向にあり、一般的な披露宴では300万円台後半が相場とされる。ゲストの人数に比例して料理や引き出物が増えるため、予算に不安を感じる人は少なくない。
みっつ目は準備の負担だ。仕事をしながら式場探し、衣装合わせ、招待状、席次表の手配をこなすのは、想像以上に大変。だからこそ、準備期間が短くて済む形を選ぶ人も増えている。
選べる結婚式のカタチ
「結婚式」といっても、いまは本当にいろいろなスタイルがある。代表的なものを比べてみよう。
伝統的な挙式形式
日本の伝統的な形式は、いまも一定の人気を保っている。神社で行う神前式は厳かな雰囲気が魅力で、挙式料は30万円台前半が目安。教会式は40万円前後、ゲストの前で誓いを立てる人前式は50万円台が相場とされる。形式や演出の自由度が高い人前式は費用も高めになる傾向がある。
フォトウェディング
撮影中心のフォトウェディングは、ここ数年で最も伸びているスタイルのひとつ。挙式や披露宴の代わりに、神社や海辺、古民家など思い出の場所でプロの写真を残す。費用は従来の披露宴より抑えやすく、その後の家族会食と組み合わせるケースが多い。
少人数婚・家族婚
親族や親しい友人だけを招く少人数婚は、一人ひとりとゆっくり過ごせるのが魅力だ。20人規模なら総額も150万円前後に収まりやすく、浮いた予算を料理や装花、写真に回す人が多い。アットホームな空気の中で、両親への感謝を伝えたいという希望が叶いやすい。
ナシ婚・会費制
婚姻届だけを出して式はしないナシ婚や、ゲストから会費を受け取る会費制ウェディングは、合理性を重視する層に選ばれている。形式ばらない分、ふたりの負担が軽く、ゲスト側も気兼ねなく参加しやすいのが特徴だ。
| スタイル | 費用の目安 | こんな人に向く | メリット | 注意点 |
|---|
| 神前式 | 挙式料30万円台前半 | 日本の伝統を大切にしたい | 厳かな雰囲気、格式がある | 時期や神社によって予約が取りにくい |
| 教会式 | 挙式料40万円前後 | 定番のドラマチックな演出が好き | 写真が映えやすい | 宗教的な意味合いを気にする場合は別の形式を |
| 人前式 | 挙式料50万円台 | ふたりらしい誓いを立てたい | 自由度が高い、ゲスト参加型 | 演出次第で費用が膨らみやすい |
| フォトウェディング | 抑えめ、プラン次第 | 式はせず写真を残したい | 費用を抑えやすい、ロケーション自由 | 親世代によっては理解が得られない場合もある |
| 少人数婚・家族婚 | 総額150万円前後から | 大切な人と濃い時間を過ごしたい | 一人ひとりと話せる、準備の負担が軽い | 招待するゲストの選定で迷うことがある |
予算を無理なく組み立てる
実際の予算の組み立て方は、どうすればいいのか。東京在住の30代カップル、佐藤さん夫妻の例が参考になる。彼らは当初60人規模の披露宴を考えていたが、費用と準備の負担を理由に、親族と親しい友人だけの20人規模の少人数婚へ切り替えた。結果、予算の範囲内で料理のグレードを上げ、両親への感謝を伝える時間も十分に取れたという。
大阪の田中さん夫妻は、フォトウェディングと会食を選んだ。神社での撮影と、地元のレストランでの家族会食。式そのものはしないものの、できあがった写真を両親が何度も見返して喜んでくれたという。
会場選びのポイント
会場選びは、結婚式の満足度を左右する。ホテルはゲストが宿泊できて安心感がある。ゲストハウスは演出の自由度が高く、神社は日本の情緒を楽しめる。それぞれに特徴があるので、実際に足を運んで雰囲気を確かめるのがおすすめだ。
見学の際は、平日と休日で印象が違うこともあるため、できるだけ開催日と同じ曜日に訪れるとイメージしやすい。スタッフとの相性も大事なポイント。担当者の話し方や対応の早さは、その後の打ち合わせのしやすさに直結する。
無理のないスケジュール
準備は、逆算が基本だ。まずふたりで予算の上限を決め、その範囲でスタイルを絞り込む。少人数婚やフォトウェディングなら、最短2〜3ヶ月の準備で実現できることも多い。
見積もりを取るときは、オプション費用を確認するのが大事。装花、映像、引き出物などは後から追加されやすい項目で、当初の見積もりと実際の支払いがずれることもある。複数の会場で見積もりを比較し、不明点はその場で確認しておきたい。
地域の結婚式情報サイトや、実際に結婚式を挙げた友人・知人の話は、会場選びの参考になる。ゼクシィなど結婚情報誌の無料相談会や、各地のブライダルフェアも活用できる。担当者に相談すれば、地域ごとの慣習やゲストの負担に関するアドバイスも得られる。
ふたりらしい一日を
結婚式に正解はない。大切なのは、お金や世間体に振り回されず、ふたりとゲストが心から楽しめる形を選ぶことだ。いまはフォトウェディングから神前式まで、選べる選択肢がかつてなく多い。まずはふたりで話し合って、予算と気持ちの折り合いをつけるところから始めてみてほしい。きっと、その先に後悔しない一日が待っている。