ペット可物件の種類と、家賃に差が出る理由
日本の賃貸市場では、ペットと暮らせる物件は大きく三つのタイプに分かれます。
一つ目は「ペット可物件」です。大家さんがペット飼育を認めている物件で、小型犬1匹まで、猫のみ、体重10kg以下といった具体的な条件が設定されていることがほとんどです。
二つ目は「ペット相談可物件」です。基本はペット飼育を想定していないものの、相談すれば許可されるケースもあります。空室対策として後付けで「相談可」にしている物件もあり、建物のつくりは一般物件と同じ場合が多いのが実情です。
三つ目は「ペット共生型マンション」です。ペットとの暮らしを前提に設計・建築された物件で、専有・共有スペースにペットランや洗足場、トリミングルームなどの設備が備わっています。ほかの入居者も飼育者が多く、理解を得られやすい一方、家賃は割高になる傾向があります。
家賃の差はどのくらいか。一般的にペット可物件は、同等条件の一般物件より月々10〜20%ほど高くなります。例えば家賃8万円の物件なら、ペット可で8.8万円〜9.6万円が目安です。これはペットによる建物の傷みや、退去時の原状回復費用を見込んでいるためです。ペット共生型の物件となれば、さらに上乗せされると考えてよいでしょう。
初期費用は一般物件より高め。内訳を理解しておく
ペット可物件の初期費用は、一般物件と比べてどのくらい変わるのでしょうか。東京都在内の1LDK・家賃8万円の物件を例に見てみます。
| 費用項目 | 一般物件 | ペット可物件 |
|---|
| 敷金 | 8万円(1ヶ月) | 16万円(2ヶ月) |
| 礼金 | 8万円(1ヶ月) | 8万円(1ヶ月) |
| ペット敷金 | - | 8万円(1ヶ月) |
| ペット礼金 | - | 4万円(0.5ヶ月) |
| 仲介手数料 | 8.8万円(1ヶ月+税) | 8.8万円(1ヶ月+税) |
| 前家賃 | 8万円 | 8万円 |
| 火災保険 | 1.5万円 | 2万円 |
| 鍵交換費 | 1.5万円 | 1.5万円 |
| 保証会社利用料 | 4万円(0.5ヶ月) | 4万円(0.5ヶ月) |
| 合計 | 約39.8万円 | 約60.3万円 |
| ※上記はあくまで一例です。物件や不動産会社によって条件は異なります。 | | |
| 表から分かるように、ペット可物件は敷金が1ヶ月分多く取られることが一般的です。さらに「ペット敷金」や「ペット礼金」が上乗せされる物件もあります。ペット敷金は退去時に部屋の状態によって返還の可否が決まり、ペット礼金は基本的に戻ってきません。 | | |
| これらを頭に入れておかないと、「思ったより初期費用がかかった」と慌てることになります。予算を組む段階で、一般物件より20〜25万円ほど多く見積もっておくと安心です。 | | |
飼育条件と契約書の細部までチェック
ペット可物件を探すとき、飼育できるペットの種類や頭数は物件ごとに線引きが異なります。小型犬はOKでも猫はNG、といったケースは珍しくありません。猫は爪とぎやにおいを心配して許可されないことが多いのです。
そのほか、以下の点も必ず確認したいところです。
- 飼育可能な体重制限(例:10kgまで、5kgまで)
- 頭数制限(1匹までか2匹までか)
- 室内放し飼いの可否、ケージ飼育のみか
- ベランダでの出入りの可否
- 契約書に「ペット飼育に関する特約」がどう書かれているか
契約書のペット項目は、くまなく読むことをおすすめします。口頭で「大丈夫ですよ」と言われても、特約に明記されていなければ後々トラブルのもとになります。特に気をつけたいのが、退去時のクリーニング費用や原状回復の範囲です。「ペット飼育による傷みは全て借主負担」という特約も存在するため、入居前にしっかり確認しましょう。
また、新築物件はできるだけ避けるという選択肢もあります。ペット可の新築は、室内のにおいや傷みに対するトラブルが起きやすく、管理会社も神経質になりがちです。築年数が少し経った物件のほうが、条件が緩く家賃も手頃な場合が多いです。
実際に暮らす視点で物件を見極める
内見のときは、ペットとの生活を具体的にイメージすることが大切です。
床の素材は最優先でチェックしたいポイントです。フローリングでも、傷に強い複合フローリングかどうか、猫の爪とぎで簡単に傷がつく材質ではないか確認しましょう。畳の部屋は、犬の粗相や爪による傷みが気になるなら避けたほうが無難です。ペット共生型マンションの中には、傷や水に強い特殊な床材を使っている物件もあります。
高層階は注意が必要です。バルコニーからの落下事故や、騒音が階下に響きやすいという問題があります。低層階のほうが、散歩のたびにエレベーターを使う手間もなく、ペットとの生活には向いているといえます。
周辺環境も重要です。敷地内にペットの足を洗うスペースがあるか、近くにドッグランや動物病院があるか。特に動物病院は、かかりつけ医を複数確保しておきたいところです。周辺に2軒以上あれば、緊急時にも対応しやすくなります。
飼い主同士のトラブルを避けるため、ほかの入居者のベランダの様子も確認しておくとよいでしょう。隣接するベランダにペットを自由に出入りさせている家庭があると、臭いや毛が気になることもあります。
賢く探すためのステップと地域の活用法
ここまで読んで「探すのが難しそう」と感じた方もいるかもしれません。ですが、ポイントを押さえればペットとの暮らしは十分実現可能です。
まず、ペット可物件を専門に扱うポータルサイトを活用しましょう。LIFULL HOME'Sやアットホームなどの大手サイトには「ペット可」の絞り込み条件があります。さらに、YOLO HOMEやwagaya Japanなど、外国人の入居をサポートする多言語対応のサービスも充実してきました。
おすすめの進め方は次のとおりです。
- 飼育するペットの種類・体重・頭数を明確にする
- ポータルサイトで「ペット可」で絞り込み、気になる物件をリストアップする
- 内見時に床材、高さ、周辺環境をチェックする
- 契約前にペット特約を隅々まで確認する
- 入居後に近隣へあいさつ回りをし、飼育について伝えておく
賃料の相場感としては、ペット共生型マンションは一般のペット可物件よりさらに高くなります。ただ、ペットランや洗足場などの設備が充実しており、ペット初心者でも暮らしやすいという利点があります。予算と設備のバランスを考えて選ぶとよいでしょう。
都市部ではペット共生型の新築マンションが相次いで登場し、選択肢は確実に広がっています。東京・横浜・大阪などの都市圏では、ドッグラン併設の物件や、24時間換気でにおい対策を施した物件など、バリエーションも豊富です。
ペットとの暮らしは、物件選びの段階から「家族全員が快適に過ごせるか」という視点で考えることが何より大切です。時間をかけて納得のいく一軒を見つけ、大切なパートナーとの新しい生活を気持ちよくスタートさせてください。